布を求めて

インドのカッチ地方で、布を求めて旅をしていたある日のこと。
ローカルの紐屋さん
に入るとその隅の暗がりに一人のおじさんの姿、何やら探しものをしていた。
しばらくするとそのおじさんの姿がはっきりと見え、その瞬間、私はハッとして彼に近づいた。肩からは、本家本元の「Pakistanアジュラック」を纏っていたからだ。

すぐさま話しかけるも全く英語が通じず、何とかこの布について話を聞きたいと周囲に居た子供たちに通訳をお願いし話ができようになると、おじさんはすんなり携帯番号をくれ、「いつでもうちにおいで」と。

嬉しさあまり地元の友人に連絡し、彼に通訳を務めてもらう約束をし、翌日おじさんの村まで行くことにした。

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道中、これまでにインドで見たこともない美しく立派な牛の大群に出会い、緑と土の香りを吸いながら、この地の風景から豊かな暮らしぶりを感じていた。

そうして、ようやくおじさんの村に到着し、言われた場所で待つも一向におじさんの姿はない。
しばらくすると、ド派手な格好をした人が前方に見えてきた。それは、まさかのおじさんだった。カーキの民族衣装に赤いカラフルなターバンを巻き、レイバン風なサングラス、そして手にはステッキを持ち颯爽とこちらに歩いてくる。友人は、「これは凄い!熱烈歓迎ムードだよ。」とうれし笑いが止まらなかった。


そうして、彼の家へと案内されるとまず、チャイをくださった。

着いたばかりなのに、お昼ご飯はどうする?ここで食べてくか?とか、いくつかの鉄の頑丈な箱をだしてきては、これは要らないか?と言いながらも、あれはだれだれからもらったんだ、っておじさんの思い出話に。
しばらく話を聞いていると、おじさんはやっぱり私たちに何かを買ってほしいのか?と段々と顔がビジネスマンの様に変わっていった。
ここは布の話へと軌道修正せねばと、「Pakistanアジュラック」を持っていたら見せてほしいとお願いした。そうして3枚、ベッドサイズほどの大きなアジュラック布を見せてくれた。その布は使い古され大変美しく、私もとっさに一枚、譲ってほしいと話をすると、おじさんは、これらの布がパキスタンの親戚からギフトとして頂いたものなんだとその布のストーリーを話し始めた。

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それは家宝として大切なものだね。と皆で話をしていたら、この一枚なら譲ってもいいよ。と昨日、出会った時におじさんが纏っていたアジュラック布を持ってきてくれた。

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おじさんも20年近くつかっていたものだけど、これなら譲る。と言ってくれた。私は昨日からの出来事を思い出しながら、これは頂くべきご縁だと感じて、おじさんの布を譲ってもらうことにした。

布を巡り、これまでにどれほどの人たちと出逢ってきたのだろうかと、このブログを書きながらしみじみと振り返る。


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by ikimono-no-oto | 2017-09-25 15:27 | INDIA